21/07/2026
【論考:一次産業全般の持続可能性を高める「食の1.5次産業化」のプラットフォーム戦略】
食の高付加価値化研究所より、当研究所が提唱し、現在各地の自治体等で実証および実装が進む「食の1.5次産業」の確立に向けた経済循環ビジョンについて論じます。
日本の食料供給基地である地方都市において、農業、水産業、林業、畜産業にまたがる一次産業の持続可能性向上は急務となっています。しかし、生産現場における未利用資源(規格外品や余剰在庫、副産物)の有効活用は、これまで理論としては語られながらも、社会実装が困難な領域とされてきました。
当研究所が提示する「食の1.5次産業」は、第1次産業(生産)と第2次産業(製造)の中間に「前処理加工(洗浄・カット・ペースト・冷凍・粉末化等)」という独立したプロセスを切り出し、特化させることで、新たな産業ポジションを創出する取り組みです。これにより、二次産業側の衛生管理レベルの向上や、国際基準(HACCPやFSSC22000)に準拠したフードチェーン全体のトレーサビリティの実現が可能となります。
従来の取り組みが定着しなかった背景には、二つの構造的課題が存在します。
一つは、生産者側に新たな加工や出荷の手間を求めることによる、心理的・物理的負担の増大(現場の負担過多)。もう一つは、規模の経済のみを追求し、未利用資源を安価に買い叩く旧来のマス・マーチャンダイジングの論理です。
これらの課題を解決するため、当研究所では「明確な役割分担」と「デジタル・AIの活用」を軸としたプラットフォーム化を推奨しています。
生産者には本来の生産活動に専念していただき、地域商社や集荷コーディネーター、小ロット対応の加工事業者がそれぞれの専門性を発揮して協働するエコシステムを構築します。ここに原料データ管理や需要予測、デジタルマーケティングを統合することで、少量分散型の未利用資源を、食品メーカーが求める「規格化・採算化された調達可能原料」へと高付加価値化します。
農業だけでなく、水産、林業、畜産を含めた全方向の一次産業に対する配慮と、関わる事業者全員が適正な利益を得られる「論理的な経済仕組み」の構築こそが、真の地域経済循環を生み出します。
当研究所は、公的機関や民間パートナーとの共創を通じて、この次世代型1.5次産業クラスターの確立と、地域社会の自律的な発展に向けた調査・分析・支援を今後も強化してまいります。